弓木くんはどうやらわたしが好きらしい

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「はじめまして! 中瀬このかといいます」

「……はあ」

「ええと……弓木くん? せっかく隣の席だし、助け合おうねっ!」

「 (助け合うって……何を?) 」




去年、入学式の直後。


はじめて話したとき、正直なところ、中瀬このかにここまで振り回されることになるとは思っていなかった。



女なんて、どいつもこいつも一緒だと思ってた。



あの先輩がどうとか彼氏がどうとか、四六時中くだらないうわさ話や、男の話ばっか、飽きもせずに。

恋だの愛だのに夢中になるわりには────



『これだけ好きって言ってるのに、ちょっとくらい付き合ってくれてもいいじゃん……!』

『弓木くんってもっと優しいと思ってた』

『誰にもなびかないとかつまんない、好きになっても時間の無駄』




ひとの気持ちも考えずに。

要するに、めんどくさい。




「ねえねえ弓木くん。この前、サッカー部の佐藤くんと話してたよねっ? 佐藤くんの連絡先とかって知らないかなっ?」

「……」

「あっ、でも人から聞くのはフェアじゃないかな……。ええと、じゃあ、佐藤くんの部活の終わりの時間とか、知ってるっ?」

「……」

「ねえ無視しないでよお、弓木くん!! 聞こえてるくせに!」



中瀬も同類だと思ってた。

入学するなりすぐに、サッカー部の佐藤とかいう奴に惚れこんで。

ただ隣の席というだけで、なぜか、俺に協力をあおいでくる。



どうせ、すぐに心変わりするんだ。

女なんてみんなそういう人種で、結局その恋がうまくいこうが行かまいがどうでもいいんだろ。


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