弓木くんはどうやらわたしが好きらしい
「6点」
「うっ、プライバシーの侵害! 訴えてやる! ハウス!」
「50点満点中、6点」
「〜〜〜っ! 逆さまにしてみてよっ、9点になるから!」
「それでも1桁じゃん」
こ、この正論モンスターめ。
キッと眉を吊り上げて、弓木くんが机の上に伏せてあるプリント目がけて腕を伸ばす。
「そういう弓木くんはどうなのっ?!」
ぐいーっと身を乗り出して、弓木くんの小テストを取り上げた。
弓木くんは焦る様子、ひとつなく。
「いいよ、見ても」
なんて、涼しげな顔。
ぱ、と表を向けると、赤字の点数がすぐに目に入ってくる。
「よ、よんじゅう、はち……?」
「うん」
「フォーティーエイト……?」
「そう」
淡々と答える弓木くん。
わなわなと、さっきとは違う理由で体がふるえ始める。