弓木くんはどうやらわたしが好きらしい


「べつに、中瀬の面倒見るくらいで成績落としたりしないから。てか、むしろ、中瀬が隣にいた方がはかどるし────」



むぐ、と慌てたように口をつぐんだ弓木くん。

きょとんとすると。



「てか、俺が、中瀬と一緒に勉強したいんだけど。だめ?」

「だめっ、な、わけないけどっ! 逆に……いいのっ?」

「じゃなかったら最初から提案してない」



それもそうか。



「じゃあ……ええと、お願いします」

「うん」

「っ、いいの? ほんとにっ?」

「ふは、何回聞くんだよ」



柔らかく笑った弓木くんは、わたしに立ち上がるようにうながした。

次の時間は体育、移動教室だ。
あわあわと体育館シューズなど、ロッカーから取り出していると、背後で弓木くんが。



「一緒に勉強とか、恋人っぽいし」

「……!」



心臓がドキッと跳ねる。

そうだった、まだ慣れなくて、すぐに忘れてしまいそうになるけれど。


弓木くんは、わたしの彼氏、なんだった。
……仮だけど。




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