弓木くんはどうやらわたしが好きらしい
「弓木くんは人生勝ち組だからそういうこと言えるんだ……」
「はあ?」
「だって、弓木くんはかっこよくて、身長も高くて、頭もよくて、性格はちょっと……難アリだけど、人気者だし、その気になれば女の子なんて選び放題じゃん……。だけどわたしは違うもん、顔もスタイルもよくて中の下くらいだし、頭もよくないし、付き合ったら面倒くさいとか言われるし、こんなわたしのこと、誰も本気で好きになってくれないもん……!」
言いながら情けなくなって、涙がだばだば出てきた。
今のわたしは土偶以下だ。
「へえ。じゃー、中瀬サンは一生負け組でいれば?」
「……!」
なんてこと言うんだ。
今は、慰めるターンじゃなかったのか。
弓木くんへのおどろきで、涙もひっこんでいく。
「い、一生負け組なんてそんなのいやだ! わたしだって、ちゃんと、いつか、幸せになる……!」
む、と頬をふくらませる。
両手をにぎって、えいえいおー、と拳をつくると、弓木くんが一瞬口角を上げたように見えた。
そして、弓木くんはわたしの濡れた頬をじーっと見つめて。
「じゃあ、さっさと俺にしろよ」