弓木くんはどうやらわたしが好きらしい


「たった3時間で完璧にマスターできるわけないだろ。ただでさえマイナスからのスタートなんだからさ」

「うっ、おっしゃる通りだけどね……!?」

「3時間にしてはよく頑張ったんじゃない」




ふっと柔らかく笑った弓木くんがわたしの前髪をくしゃっと乱した。

思ったより優しい触れ方が、なんだかこそばゆい。




「今日できなかった部分は、明日以降やればいいんだし」

「へ……」

「今日で終わりなわけじゃないだろ。テストまでまだ1週間あるんだから、中瀬でも赤点回避できるように叩きこんでやるよ」

「えっ? 明日からも、勉強、見てくれるの?」




てっきり、勉強会は今日限りだと思っていた。

純粋な驚きで目を見開くと、弓木くんは「何言ってんの」と言いたげな顔で。



「あたりまえ」

「いいのっ? 教えてくれるの?」

「最初からそのつもりだったんだけど」

「わたし……あんなに、物覚え悪いのに?」

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