弓木くんはどうやらわたしが好きらしい
呆れたっておかしくない。
うっとうしいって思ったって、おかしくない。
効率悪くて、器用じゃない、そんなわたしのこと、わたし自身ですらたまにほとほと嫌になるのに。
そんなわたしに1週間も付き合ってくれようとするなんて。
「そこが中瀬のかわいいところじゃん」
「……!」
弓木くんは、物好きで、変わり者だ。
「はい」
「……?」
「頭使ったら、甘いもの欲しくなるだろ」
「これ……、キャラメル? いいの?」
「今日のがんばったで賞」
包み紙をほどいて、ころんと舌の上で転がしたキャラメルは。
「ミルクティー味」
「購買で売ってた。中瀬、好きじゃん、ミルクティー」
「よく知ってるね……っ?」
「こんなんレベル1だろ」
軽く肩をすくめた弓木くん。
弓木くんは、今、レベルどこにいるつもりなんだろう。
そしてわたしは、弓木くんのこと、どれくらいのレベル知っているのかな。
夕焼けに染まるメガネをかけた知らない横顔に、ふいに胸がキュッと詰まった。