弓木くんはどうやらわたしが好きらしい
「わ、わたしのせいだ……」
「ふは、何責任感じてんだよ」
「だってわたしが雨雲を呼び寄せてしまったんだもん! 弓木くん、傘は?」
「持ってない。中瀬は?」
「わたしも家に置いてきちゃったよ……っ」
だって、降水確率0パーセントだったんだもん。
雨が止むまで屋根のあるところで待っていたいところだけど、完全下校の時間が過ぎて、校門には鍵がかけられてしまった。もう戻れない。
つくづく運が悪いのは、さすが雨女だ。
このままここで立ち止まっていても、どんどんずぶ濡れになっていくだけだし、冷たい雨をたっぷり浴び続けるのは体にもよくない。
あと、雨を直で浴びると将来ハゲるらしい。
それはとても嫌だ。
とすると……。
「弓木くんっ、風邪ひく前にダッシュで走って帰ろっ! わたしは駅まで、弓木くんはバス停までっ、じゃあ────」
帰り道は反対方向。
じゃあね、と手を振ろうとすると、はしっと。
弓木くんがその手を捕まえた。
「駄目」
「へっ?」