弓木くんはどうやらわたしが好きらしい
なんだか、さっきよりもさらに雨音が強まっているような……と思ったタイミングで、今度はゴロゴロと遠くで雷の音が響いた。
これは────嫌な予感が。
「どうかな、止みそう?」
弓木くんの手元を覗き込んで、予感は的中する。
「止まないどころか、一晩中 嵐」
「う、うそ……」
いや、嘘じゃないのはわかる。
わたしたちの街を覆うように赤色の雨雲が表示されているのを見れば、一目瞭然だ。
でも、これじゃあ電車も止まっちゃうかもしれないし、ここから我が家へどう帰れば────なんて、頭を抱えかけたとき。
「中瀬。今日、うちに泊まってく?」
「へっ?!」