弓木くんはどうやらわたしが好きらしい
お泊まりとシングルベッド


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弓木くんは、ときどき言うことが突拍子もない。

その上、顔色ひとつ変えずさらりと放つから、冗談なのか本気なのかも見抜けない。




「今、なんて……」

「だから、泊まってく? って」

「っ、な! なんでそんなことっ!」


「なんでって、フツーにこの雨のなか帰るのは危ないだろ。雷も鳴ってるし。それなら一晩ここで過ごして、明日の朝帰ったほうがいいんじゃねえの」




もっともな正論だった。




「でも……そんなの申し訳ないし、弓木くんの家族にも」

「帰ってこねーから。今日、出張で県外」

「そ、そうなんだ……」



どうしよう、断る理由がなくなってしまった。

あからさまにおろおろとすると、弓木くんはふっと微笑んで。




「別に無理やりにとは言わないから。中瀬が帰りたいなら、タクシー呼ぶけど」





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