弓木くんはどうやらわたしが好きらしい
お泊まりとシングルベッド
♡
𓐍
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弓木くんは、ときどき言うことが突拍子もない。
その上、顔色ひとつ変えずさらりと放つから、冗談なのか本気なのかも見抜けない。
「今、なんて……」
「だから、泊まってく? って」
「っ、な! なんでそんなことっ!」
「なんでって、フツーにこの雨のなか帰るのは危ないだろ。雷も鳴ってるし。それなら一晩ここで過ごして、明日の朝帰ったほうがいいんじゃねえの」
もっともな正論だった。
「でも……そんなの申し訳ないし、弓木くんの家族にも」
「帰ってこねーから。今日、出張で県外」
「そ、そうなんだ……」
どうしよう、断る理由がなくなってしまった。
あからさまにおろおろとすると、弓木くんはふっと微笑んで。
「別に無理やりにとは言わないから。中瀬が帰りたいなら、タクシー呼ぶけど」