弓木くんはどうやらわたしが好きらしい


「お、シーチキン缶、発見」



お米とシーチキンでなにか作れるだろうか。
うーん、と考えこんで。

ハッとひらめく。



「できるよ! わたしの “得意料理” !」

「得意料理?」



うん、と自信たっぷりに頷いた。

ぴんと来ていない弓木くんの不思議そうな表情をかたわらに、調理の準備を進める。

そして、数十分後。




「────まさか、“得意料理” ってさ」

「……」

「おにぎり?」



炊き上がったほかほかのごはんを、せっせと三角に丸めていくわたしをじーっと見つめて弓木くんが言う。



「むう、おにぎりをなめたらだめだよ! アチアチのごはんをおにぎりにするのは結構難しいんだからね!? コツがいるんだから!」



弓木くんもやってみれば、とうながす。

キッチンにふたり並んで、おにぎりを丸めた。



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