弓木くんはどうやらわたしが好きらしい
「あいつのために修行したの」
「……うん」
1年生のときに好きになったサッカー部の佐藤くん。
練習試合に差し入れするために、ツナマヨのおにぎりを握れるようになった。
結局食べてはもらえなかったんだけど。
あのおにぎりをこうしてまた誰かに食べてもらうために作るとは、思わなかったな。
「どれくらい修行してたの」
「毎日欠かさず握ってたよ」
「ふーん」
わたしがつくった綺麗な三角おにぎりを見つめて、弓木くんはちょっと不機嫌な顔をした。