弓木くんはどうやらわたしが好きらしい


「あいつのために修行したの」

「……うん」



1年生のときに好きになったサッカー部の佐藤くん。


練習試合に差し入れするために、ツナマヨのおにぎりを握れるようになった。

結局食べてはもらえなかったんだけど。



あのおにぎりをこうしてまた誰かに食べてもらうために作るとは、思わなかったな。




「どれくらい修行してたの」

「毎日欠かさず握ってたよ」

「ふーん」




わたしがつくった綺麗な三角おにぎりを見つめて、弓木くんはちょっと不機嫌な顔をした。




< 98 / 265 >

この作品をシェア

pagetop