俺様社長は奥手な秘書の初めてを奪う

こうして目の下に隈をがっつりこさえたまま、フランスに到着した。

(全部の仕事が終わらなかったから、合間にホテルにこもって片さなきゃな……)

少々憂鬱な気持ちのまま迎えに来てくれたリムジンに社長らと乗り込み、まず向かった先は、パリ滞在中に宿泊するルイさんが経営するラグジュアリーホテル。
そこはパリ中心部にあり、紛れもなく一等地だ。

(すごい! これが本物のエッフェル塔……!)

リムジンから見える景色が長年の憧れそのもので、間近で見れた喜びに顔がにやけてしまう。
興奮冷めぬまま部屋に荷物を置き、私は社長、華さん、ルイさんと合流してホテルのレストランで軽い朝食を取りに来た。

白を基調とした店内は天井が高く、壁が全面ガラス張りということもあり庭の自然光が差してとても開放的だ。
ところどころに飾られている白いバラと、ピカピカに磨かれた大理石の床により高級感を醸し出している。

「すごく優雅なレストランですね。クロワッサンも美味しいし……美晴も連れて来てあげてくださいね」

右手に座るルイさんにこそっと伝えると、彼はコーヒーを口に含みながらに小さく頷く。

「もちろん。貸し切りにしておもてなしするよ」

(さすがCEO……)

ルイさんと美晴はというと、なんとか関係は続けているらしい。
彼がパリでパパラッチに撮られたフィアンセは『実はカモフラージュだった』と美晴は教えてくれた。王室も絡んでくるので詳しくは教えてくれなかったけど。

(とりあえず、二人が仲良さそうで安心したな)
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