俺様社長は奥手な秘書の初めてを奪う
私の後ろに立っていたのは、茶髪で軽いパーマをかけた高身長の男性。
色白の肌に、丸眼鏡の奥から覗く細い目。すらりとした鼻はどう見てもアジア人だ。
スーツはグレーベースのチェック柄で、パリらしいオシャレな着こなしをしている。

「CLBKの方ですよね? 僕、『オテル・ド・シェヴァリエ』デザインチームの遠藤と申します。初めまして」

「初めまして……! 私、藤堂社長の秘書を務めております。結城と申します」

(ルイさんのホテル、華さん以外にも日本人の方がいたんだ……)

お互い微笑み合って名刺交換を交わしていると、コツコツ……と足音が聞こえてきた。

「遠藤」

私たちの前にやって来たのは、社長とルイさんだ。

(名前を知ってるっことは……社長、遠藤さんと知り合いなの?)

社長は私の横に立ち、口元に笑みを浮かべながら遠藤さんに手を差し出した。

「随分と会ってなかったよな……七年ぶりくらいか?」
「そうだね。元気だったか?」
「ああ」
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