俺様社長は奥手な秘書の初めてを奪う

ピリリリ! ピリリリ!

「ん……っ」

あれからどれくらいの時間が経ったのか……けたたましく鳴り響く着信音に、私はうっすら目を開ける。
ぼんやりとした意識の中スマホのディスプレイを覗くと、やはり社長の名前が表示されていた。

(十八時か……こんな時間にどうしたんだろう?)

「お疲れ様です、社長……」

『ようやく起きたか。すまないが今すぐ没になったデザイン案を一式、俺のいる場所まで持って来てほしい。住所を送るからなる早で』

「えっ」

ブツッ!

有無を言わせない彼の横暴な態度に、寝起きということもあってむっと頬を膨らます。

「本当なんであんなに強引なんだろ。抑えろ、抑えろ……」

送られてきた住所と彼のスケジュールを照らし合わせると、今はパリ郊外にあるビジネス街、ラデファンス地区でデザイナーと打ち合わせ中ようだった。

(とにかく、急がなくちゃ……!)
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