俺様社長は奥手な秘書の初めてを奪う


そして翌日。
日本に戻ってきて初出勤日だ。つまり社長と付き合ってから『初めて』会社で顔を合わせる。

「あー……緊張が顔に出ませんように!」

パンパンッと頬を叩いて気を引き締める。
現在朝の九時三十分。もうすぐ社長が出勤してくる。
お母さんと話した後、私は疲れてしまったのか知らないうちに寝てしまい、起きたら朝だった。社長からもメッセージはきておらず、大人ってこんなさっぱりした付き合いだったっけ……なんて思ってしまう。

(ちょっとショック受けてる自分。
なんだかんだでちゃんと男の人と付き合ったことないし、何が正解なのかも分からない……)

ドキドキしながら社長室の掃除をしていると、コツコツ……と足音が聞こえてきた。

「芽衣、おはよう」

「とっ、藤堂社長……!! おはようございます」

時差ボケなんて感じさせない爽やかな笑顔で彼は登場した。
もちろん髪も綺麗に整えられ、靴もピカピカに磨かれている。
カチンコチンに体を硬直させる私をすり抜け、彼はストンと社長椅子に座った。

「また気を引き締めていこう。で、今日の連絡事項は?」
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