俺様社長は奥手な秘書の初めてを奪う
全力で首を振ると、ルイさんは不思議そうな顔で「まぁいいか」と言った後、微笑みながら部屋を出ていく。
(まずい……社長がいる前で、思いっきり顔に出てた……)
暗い気持ちで彼の背中を見送っていると、クスクスと背後から笑い声が聞こえてきた。
「ん……?」
思わず振り返ったその時……社長は椅子から立ち上がり、私の腕を掴んだ。
ドキッと鼓動が跳ねたのと同時に引き寄せられ、端正な顔が至近距離に迫ってくる。
「芽衣はホント分かりやすくて可愛いな。だからいじめたくなる」
「なっ……⁉」
いたずらっぽい含み笑いをした彼はそのまま椅子に腰かけ、その反動で私も後ろに倒れていく。
あっという間にたくましい腕に体を捕らえられた私は、彼の膝の上で尻もちをついた。
「あの、何を……⁉」
体が密着して、体温が急上昇する。
首元に感じる彼の淡い吐息に、よけいに鼓動の音が速くなってしまう。
「芽衣に触れたくて我慢してた。
それはお前もだろ? 一日ずっとソワソワしてたもんな」
耳元で小さく笑われ、カーッと頬が熱くなる。
図星だからというのもあるけれど、悔しいという気持ちがはるかに大きい。
「さすがにわざとは、ひどすぎます……! この前のこと夢なのかと思ったんですよ、私……!」
思い切って反論すると、ふいに長い指が私の唇を撫でた。
「あんなにキスしたのに、夢なわけないだろ」
「……っ」