俺様社長は奥手な秘書の初めてを奪う
「だろ?」

素直に私が賛同したのが嬉しかったのが、彼はするりと私の手に長い指を絡めてきた。
キュッと握られて、胸がきゅんと締めつけられる。
早く離れなくちゃと頭では思うものの、恋人繋ぎが嬉しすぎる……!

(神様お願い。もう少しこのままでいさせて! 誰も来ないで!)

心の中で念じていると、社長は微笑みながら私の顔を覗き込んできた。

「芽衣。クリスマスイブの日、空けておいてくれ。この前リスケした食事会に行きたい」
「⁉ は、はい……承知しました!」

(そういえばパリ視察の前に社長に食事に誘われて、私断ったんだっけ……)

とはいえ、今とあの時とでは、状況が全然違う。

(実質、初デートだ……! しかも、クリスマスイブ)

一年で最もロマンチックなシチュエーションというわけだ。
自分とは無縁のものだと思っていたけれど、まさか今年、長年の片思いの相手と過せることになるなんて……天にも昇る気分なうえに、すでに緊張してくる。

(その時までに、絶対に絶対に女子力を上げておきたい……!)
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