俺様社長は奥手な秘書の初めてを奪う
■快side

結婚式から三年後――。

「では、ジャパン・ベストホテル賞を受賞しました、株式会社CLBK代表取締役、藤堂社長ご登壇お願いします」

「はい」

某日、東京都港区の会場。
大勢のマスコミの前に立った俺は、司会者からクリスタルトロフィーを受け取っていた。
その傍ら、アートディレクターの華と遠藤がスタッフに誘導され俺の横に立つ。
――東京都港区六本木に『オテル・ド・シェヴァリエ・ジャパン』が誕生して一年。
Berry.by.KAIの華やかな家具で構成された客室とオテル・ド・シェヴァリエの最上級の接客が大好評を呼び、高価格ながら半年先まで予約が埋まっている。

「名誉ある賞をありがとうございます。今後も気を緩めず最上級のおもてなしをモットーに、全世代の女性に幸せを感じてもらえるような空間を提供し続けます」

「楽しみにしています、藤堂社長」

司会者の受け答えが終わり会場に笑顔を送ると、割れんばかりの拍手が巻き起こる。同時にたくさんのカメラフラッシュが焚かれ、まばゆい光は不思議と煩わしさを感じず美しかった。

(ようやく、大仕事が終わったんだな。ルイと芽衣も、お疲れ様)

授賞式が無事に終わり、俺は大急ぎで会場を後にする。
スマホで時間を確認すると夕方の十七時を回ったところだ。用意していたリムジンに乗り込み、急いで羽田空港へと向かう。

「少し仮眠をとってはいかがですか、社長」
「心配は無用だ。機内で寝る」
「もー、ホント頑張り屋さんですよね」
< 214 / 225 >

この作品をシェア

pagetop