俺様社長は奥手な秘書の初めてを奪う
俺の隣にいるのは、芽衣の次に雇った秘書の遠山だ。
二十八歳の若造、色黒でガタイがいいがこれでもガリ勉で東大出身。
この馴れ馴れしさが逆に楽で、歴代の秘書の中で最も長続きしているのだから不思議だ。

「ではでは、芽衣社長にもよろしくお伝えくださいね~っ!」
「分かったから、恥ずかしい!」

手荷物検査に向かうまで全力で手を振る遠山を睨みつけ、はぁーーと大きく息をつく。

(寝不足にあのテンションは堪えるな。ああ、まだこっちを見てやがる)

ホテルが完成したのと同時にBerry.By.KAIの人気も過熱し、昨年の売り上げは今までの最高額を記録。
新店のオープン、さらに元々進行していた新ブランドのオープンも重なり、この数カ月は訳が分からないくらい働いていた。
とはいえ一番は、『明日』に仕事がかからないように、前倒しで動いていたからなのだが。

(早く芽衣に会いたい、俺に癒しをくれ)

< 215 / 225 >

この作品をシェア

pagetop