俺様社長は奥手な秘書の初めてを奪う
■快side

遠ざかっていく結城の後ろ姿を見つめていると、いきなり華が俺の腕に絡みついてきた。

「華?」
「女の趣味も随分と変わったのね。派手な感じが好きだったじゃない……私みたいな」

「……確かにそうだったな」

顔を覗き込んできた華に微笑みながら、ゆっくりとその細い腕を解いた。

(あれだけ惚れていたのに、
こううんともすんとも心が動かないのは、年月が経ちすぎてしまったからなんだろうな)

冷めた俺とは裏腹に、華は熱心にこちらを見つめてくる。

「こんなに男前になってるなんて聞いてないわ。ルイも全然快の様子を教えてくれなかったのよ」

「……華。君はラブラブな彼がいたんだから教える必要はなかっただろう」
「そうだけど……」

ルイは華をたしなめた後、彼女の手を取り俺に視線を送った。

「快。俺は華と先に会場に入っていることにするよ。新しいアートディレクターとしてみんなに紹介しなくちゃ……ね?」

「ああ、準備が出来たらすぐに俺も向かう」

「快……!」
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