俺様社長は奥手な秘書の初めてを奪う
ルイの歩みを無理やり止めた華は、ぎこちない笑みを俺に向ける。
「一度ちゃんと話したいと思ってたの。今日でもいいわ、食事でも行かない?」
「また落ち着いたらな。それに過去のことは何も思っていないから気にしなくていい。
君は仕事に集中してくれ」
「でも……」
ルイの腕を振り払って近づいてきた彼女に、俺は微笑んだ。
「君は才能溢れる女性だ、ディレクターとしての活躍を期待して大金を出してここにきてもらった。
ただし……もし結果を出してもらえなければ、すぐにパリに帰ってもらう。そしてうちの敷居を絶対に跨がせない。そのつもりで」
苦々しくうつむいた彼女を残し、俺は逆の方向へ歩き出した。
(本当に俺は華に何も思っていない、そんな話をするために来てもらったわけじゃないんだ)