俺様社長は奥手な秘書の初めてを奪う
個人秘書として久しぶりに再会した結城は、俺が抱いていた印象とは大きくかけ離れていた。
『社長、今日もお疲れさまでした。明日は十一時に迎えに上がります』
『ああ、ありがとう』
容姿は以前よりも大人になり、美しくなっていた。
綺麗に落ち着いたスーツを着こなし、嫌味のない笑顔をアクセサリーにしている。
そして……肝心の仕事ぶりは的確で早く、ミスも犯さない。何より、俺の要望にできる限り百パーセントで答えてくれる姿勢が気に入った。
(結城は、俺が求めていた秘書の理想そのものだ。この四年余りであそこまで成長したとしたら、大したもんだよ)
彼女の働きぶりを見て心底感心するものの、同時に『あの時』の純朴な彼女はどこに行ったのかと思う。
(結城の素の顔を暴きたい。これはただの興味でしかないのだが)
「……もうこんな時間か。原稿を確認しなくちゃな」