俺様社長は奥手な秘書の初めてを奪う
結城のことを思い出したついでに、手に持っていた原稿に視線を落とす。

が……。

「なんだ、これは」

ザッと最後まで目を通したが、やはり今回の記者会見の原稿ではないようだ。

(結城、やってくれたな)

思わずため息が漏れそうになるが、気を取り直して口角を上げる。

「まぁなんとかなるだろ」

彼女にしては珍しいミスだ。
さっき自分が言った通り無理をさせすぎたのかもしれない――そんなことを思いながら、俺は記者会見場へ足を向けたのだった。
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