俺様社長は奥手な秘書の初めてを奪う
遠ざかっていく彼の背中を見つめながら、ポツリとつぶやく。
(美晴になんて説明しよう……)
大企業に勤め、イケメンで高身長、そしてイケボ……まったく彼氏ができない私のために、親友が泣く泣く紹介してくれた優良物件の彼だった。
付き合って三カ月経つというのに、まともにデートもせず終わってしまったけれど。
怒り心頭で雄たけびを上げる美晴を想像しながらぶるっと身震いしていると、ふと腕時計が視界に入る。
「いっけない、通話から五分も経過している。急がなくちゃ……!」
ガツッとヒールを踏み込んで、カップルで賑わう並木道を全速力で走り出す。
私の名前は結城芽衣。二十七歳、独身。(たった今から彼氏なし)
東京都港区に本社を置く、アジアを中心に世界で人気を集めているインテリアブランド『Berry.By.KAI』を展開する株式会社CLBKの社長、藤堂快の個人秘書を一年前から務めている。
「西麻布の交差点までお願いします!」
「はいよ」
(美晴になんて説明しよう……)
大企業に勤め、イケメンで高身長、そしてイケボ……まったく彼氏ができない私のために、親友が泣く泣く紹介してくれた優良物件の彼だった。
付き合って三カ月経つというのに、まともにデートもせず終わってしまったけれど。
怒り心頭で雄たけびを上げる美晴を想像しながらぶるっと身震いしていると、ふと腕時計が視界に入る。
「いっけない、通話から五分も経過している。急がなくちゃ……!」
ガツッとヒールを踏み込んで、カップルで賑わう並木道を全速力で走り出す。
私の名前は結城芽衣。二十七歳、独身。(たった今から彼氏なし)
東京都港区に本社を置く、アジアを中心に世界で人気を集めているインテリアブランド『Berry.By.KAI』を展開する株式会社CLBKの社長、藤堂快の個人秘書を一年前から務めている。
「西麻布の交差点までお願いします!」
「はいよ」