俺様社長は奥手な秘書の初めてを奪う
Excelデータのトップに貼りつけられているのは、彼が唯一会社の公式HPに公開している顔写真だ。

シミ一つない陶器のような滑らかな白肌にまっすぐ伸びた高い鼻梁。
無造作にかきあげられたブロンドの前髪から、少し垂れた挑発的なブルーアイがジッとこちらを見つめている。

「いつ見てもすごいなぁ」

日本人らしい黒髪で精悍な顔つきの藤堂社長とは、全く種類の違うイケメンだ。

ルイ・シェヴァリエは三十歳で社長の座に就くと、低迷していた経営を上向きにさせ、世界五十カ国以上にホテルを展開した。
そしてついに日本でも『オテル・ド・シェヴァリエ・ジャパン』が六本木に建設されることになったのだ。

今回内装からインテリアまで全面的に株式会社CLBKが協力することになっていて、来週からプロジェクトが始動する。

うちのインテリアブランドが世界的に人気でこの運びになっていたというのもあるけれど、理由はもう一つあるのだ。

「アメリカペンシルベニア大学、経営学部を首席で卒業……」

(藤堂社長とルイ・シェヴァリエは大学の同期、そして古くからの友人……女たらしの悪友でなければいいけれど)

ソファに座り、美女を両手にはべらせる二人を想像していると、突然キッときつくブレーキが踏まれた。

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