Rain Candy

「どうしたらいいんだろう……」

チラリと碧澄が麗央の方を見れば、麗央は男性社員からドライブデートに誘われ、断っているところだった。麗央は毎日誰かにこうして誘われている。このままでは誰かと付き合い始めるのも時間の問題だろう。

他の男性のようにアプローチができない自分に苛立ちながら、碧澄は麗央を見ていた。



いつものように今日も仕事が始まる。碧澄と麗央は仕事での会話を少しし、時間が過ぎていった。

「終わった〜……」

碧澄は背伸びをし、かばんを手に会社を出る。今日は久しぶりに定時で帰ることができた。

今日は午後から雨が降ると天気予報で言っていた。その予報通り、外は今土砂降りだ。碧澄は折り畳み式の紺色の傘を取り出し、広げる。

「電車の時間まで余裕があるし、コーヒーでも飲んで行こうかな」

碧澄は腕時計をチラリと見て、駅とは反対方向へと向かう。街を歩く人はみんな傘を差している。ピンクや水色など色とりどりの傘が街を彩り、まるで麗央のくれるキャンディのようだと碧澄は思った。