隣の席の一条くん。
ちょっと動けば、一条くんと肩が触れるくらい近い。


こんなに一条くんと近くになって、初めて気づくこともある。


ふわりと香る柔軟剤のいい匂い。

きれいな指。

シャツの襟元の隙間から見えた、小さなホクロ。


そのひとつひとつの気づきに、わたしはドキドキさせられる。


「…なに。さっきから」


だから、うっかり見惚れていたら、その視線が気になった一条くんが目を細める。
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