隣の席の一条くん。
「じゃあ、もう1回練習してみる?うまくできるかどうか」

「…もう1回?それって、キスの――」


わたしが聞くよりも先に、一条くんがわたしの唇を塞いだ。


「ま…!待って!まだ心の準備がっ…!」

「待たない」


噛みつくようなキスが降り注いできて、ただでさえうまく息ができない。


「…一条くんっ!」

「晴翔」

「…ふぇ?」

「『一条くん』じゃなくて、『晴翔』って呼んで。ひらり」
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