隣の席の一条くん。
毎年この時期は、契約更新のためにママと事務所に出向いている。


だから、今日もそのことかと思っていたら――。



「失礼します」


ノックして社長室に入ると、険しい顔をした社長がイスに座っていた。


「わざわざお呼び立てして申し訳ない」


社長に促されるまま、ママといっしょにソファに腰を下ろす。


「今日きてもらったのは、契約更新の手続きで…」


社長は、契約書を机の上に置いた。
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