隣の席の一条くん。
落ちてしまいそうなくらい大粒の桜の花が、優しい風に揺れている。


桜の木の根本に座って見上げると、まるで淡いピンク色の空が広がっているようだった。


晴翔の肩に頭を寄せる。

木漏れ日が気持ちよくて、なんだか眠たくなってきそう。


「…ひらり」


ふと、隣からわたしを呼ぶ晴翔の声が聞こえた。

…と思ったら、その直後に唇を塞がれた。


顔を離して、ニヤリと晴翔が微笑む。
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