隣の席の一条くん。
もしかして一条くん…。

…わたしのことがっ――。



「じゃあ、俺帰るから。家には1人で入れるよね?」

「…あ。う…うん」


わたしがそう答えると、安心したように一条くんが微笑んだ。


「また明日」

「うん。ありがとう」


一条くんの後ろ姿に向かって、手を振る。


地味な色の家が並ぶこの閑静な住宅街には、やたらと映えて見える――一条くんの金髪。
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