小さな恋、集めました【短編集】
ミルクティーの彼

【文化祭】


ふわりと、ミルクティー色の髪が揺れる。


「ねーまだー?」


放課後、文化祭の準備中。


たった今問いかけてきた彼に告白されたのが、一週間前。

さらに言えば、急な告白にどうすればいいかわからなかった私が返事を保留にして一週間が経つ。


「ねーねーまだぁー?」


前でふわふわと揺れるミルクティー。

文化祭にむけて浮き足立っている教室はかなりざわついていて、彼の声を私にだけ伝えてくる。


もう返事を保留にして一週間。

そろそろ返事をしなきゃと思ってるけれど……。

なんせ生まれてこの方、初めて告白されたもんだから、好きという気持ちがなかなかわからない。


「ごめんね。まだ返事は先でも……っ!?」


また返事を先延ばしにしようとする私の言葉は、目の前に迫った彼によって遮られた。


「……もう、まてねぇよ?」


耳元でニヤリと笑いながら囁く彼に、ドキドキと高鳴る胸。


私はもう、彼に捕まってしまった。

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