小さな恋、集めました【短編集】
かわいい彼
【キス】
「今日ってキスしなきゃいけない日なんだって」
「え、まじ!?」
付き合って1ヶ月。
未だにキスさえしたことのない現状を打破すべく、ついに私は強行突破に出た。
「知らなかったの?」
「初耳だ」
そりゃそうだ。
呟かれた言葉に心の中で、んべっと舌を出す。
「もししなかったらどうなるんだ?」
「爆発する」
「爆発!?」
流石に雑すぎだろうか。
ていうかもしって何よ、そんなん考える暇があったらキスしなさいっての。
「あ〜あと10秒で爆発する」
「わかんの!?」
あたふたとするアイツを横目に、9、8とカウントダウンを始める。
「ほら、早く」
ついに残り3秒、2秒。
もし0になってもしないなら私からしてやる。
そう意気込んだ時。
ちゅっ。
頬に感じた柔らかい感触。
え、これってもしかして。
「今日はこれで勘弁して……」
目の前の真っ赤な顔したアイツの姿に、少しだけキュンとしたのは内緒の話。