小さな恋、集めました【短編集】
幼なじみ
【風邪】
……なんだかふわふわする。
「……ぎゃっ!」
「! るせぇな」
目が覚めた瞬間視界に入ったのは、明るい金髪。
そして聞こえた声は間違いなく、絶賛片想い中の幼なじみのもので。
「あっごめん」
慌てて謝ったけど、状況がよく掴めない。
……一体何で私はおぶられてるの?
「ん。大丈夫か?」
「え……何が?」
「何がって……、熱あんだろ」
言われてみてそういえばと思い出す。
私、具合が悪くなって保健室で休んでたんだった。
「でもなんでこんな」
「保健室にサボりに行ったらお前がいたんだよ」
だから家に送ってるだけ。
それを聞いてじわりと顔が赤くなるのがわかる。
「……ありがと」
そう呟くと、別に、というぶっきらぼうな返事が返ってきた。
……あれ?そういえば。
「保健室でサボるの珍しいね?」
「誰かさんが具合悪そうにしてたからな」
「……なんで」
「そりゃわかるよ」
いつも見てるからな。