小さな恋、集めました【短編集】

【風邪】に続く話 〜side彼女〜


"大丈夫か?"


小さい頃、私がきつい時は必ず気づいてくれた。

そんなあんたが好きだった。


昔は成長するにつれて段々と距離ができるなんて考えたこともなくて。

幼なじみってだけでずっと近くにいれるんだってそう思っていて、でもそれは間違いで。


シーツにくるまって震える身体を抱きしめる。

漏れた息は熱く、体調は悪くなる一方だ。


「……きついよ、ばか」


ばか、昔はすぐに気付いて駆けつけてくれたじゃない。

あの時みたいに大丈夫かって聞いてよ。

ばか、ばか。違う、わかってる。


一番馬鹿なのは過去にすがり浅ましく期待してる私だ。


「側にいてよ……」


私のことなんてもう気にもしてないだろうけど、そんなあんたが私はまだずっと好きなのよ。




ーーー相変わらずこの時期に弱ぇのな。帰るぞ。



沈む意識の中、ぼんやりとあいつの声が聞こえた気がした。

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