小さな恋、集めました【短編集】
やっぱり君と
【喧嘩】
昨日喧嘩した。
今日はクリスマスイブなのに。
原因は些細なことだけど、意地張って結局連絡も取り合ってない。
それでも足はイルミネーションの元へと向かっていて。
喧嘩する前に行きたいね、なんて話してた。
まぁきっと君は来ないんだろうけど。
かの有名なクリスマスソングが頭に浮かぶ。
ひとりきり、か。
イルミネーションはまだ点灯しておらず、それでも周りには多くのカップルがいた。
私だって、本当は……。
そこまで考えてかぶりをふる。
無駄なことだ。
もう帰ろう。
そう思って踵を返そうとしたとき。
スマホが震えた。
『ごめん、俺が悪かった。後ろ見て』
「嘘……」
「嘘じゃないよ」
背後からふわりと抱きしめられる。
耳元に届くのは愛しい人の声。
「ごめん、ひとりにさせて」
「……私こそごめん」
「うん、俺もごめん。好きだよ」
「……私も好き」
滲む視界に、色とりどりの光が溶けていった。