小さな恋、集めました【短編集】
頑張る君が好き

部活に委員会、その他諸々の仕事。

あーほんっとに。


「疲れた……」

「癒してやろうか?」


机にうつ伏せになっていると、上から声がする。

癒す? 癒すってなんだっけ。頭まわんないや。


「うん」


でも疲れがとれるなら。

そう思って返事をしたものの、それが意味することに気付いて慌てて顔をあげた。


「ごめん嘘! 忘れて!」

「無理」

「えっ?」


覆いかぶさるように抱きしめるあいつ。


「お疲れさん」


優しく頭をぽんぽんとされ、疲れがじわりと溶けていく。


「……ねぇ」

「うん」

「……もう大丈夫だから」

「うん」


あいつの体温に包まれてホッとするけど、やっぱり少し気恥ずかしい。


大丈夫と言っても頷くだけで全然離してくれない。

それが少しだけ、嬉しくて。


「頑張るお前も好きだけど」


ぎゅっと抱きしめる力が強くなる。


「疲れたときは、ちゃんと休め」


「……うん」


ちゃんと見てくれてる人がいる。


ありがと。

呟いた声は、少しだけ震えていた。

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