小さな恋、集めました【短編集】
小さな背伸び
【再会】
「よっ」
久しぶりに会った彼は、随分と大人びていた。
***
再会した日は驚きとあまりのかっこよさに碌に言葉も出なかった。
そんな私を見越してか、後日、再会の記念にどこか出かけようという話になり。
大人っぽい彼に見合うように背伸びをしまくった。
普段履かないようなヒールに、大人っぽいワンピース、更にはきらきらしたイヤリング。
その結果、足を吊った。
比喩でもなんでもなく。
「……ったぁ」
「大丈夫か?」
……こんなことなら、慣れないヒールなんか履かなきゃよかった。
「ごめんね」
「ん?」
「こんな靴で来たせいで」
恥ずかしさと申し訳なさでいっぱいになる。
「そんなことねーよ」
俯いた私に降ってきたのは優しい声。
「俺のためだろ? 嬉しい」
「……ほんと?」
「そりゃもう」
「ただでさえ綺麗になったのに、この前よりも更に綺麗になるとか、心臓もたない」