小さな恋、集めました【短編集】
臆病な私
【告白】
「付き合いたいとか思わないの?」
友人に言われた言葉がぐさりと突き刺さる。
「思わないよ」
だってもし私がそうでも、あいつにその気がなかったら?
そんなの辛すぎる。
ごめんね。私は臆病だから。
「お前が好きだ」
だから、こんな状況でも臆病な私が顔を出す。
「付き合ってほしい」
大好きなあいつからの告白。
だけど私は臆病だから。
「……少し、時間くれない?」
もし、この関係に終わりがくるかもと思うと、どうしてもその一歩が踏み出せない。
そう言って逃げるように立ち去ろうとすると、突然手首を掴まれた。
「あげない」
そう言ったあいつの眼は真剣で。
「お前の臆病なとこも含めて好きだけど」
ーーーいい加減、諦めろよ。
耳元で囁かれた言葉に顔が赤くなるのがわかる。
……あぁ、敵わないなぁ。
「……私も、好き」
私は臆病だから。
幸せすぎて死にそうだ。