これを愛というなら~SS集~
☆利香×陽介☆
「チーフ!?私と付き合ってみませんか?」
誰もいない事務所で、私はずっと憧れていた浅尾チーフの背中に告げていた。
驚いた様子で振り向いたチーフは、突然だな、と苦笑いをして歩み寄ると、私の頭をゆっくり撫でてくれて。
「本気か?本気じゃないならやめとけ」
「本気じゃなければ……こんな事は言いません!」
仕事が出来る、部下からの信頼もある。
顔だって某モンスターアーティスト集団の事務所に居そうな、男らしいイケメン。
背も高くて、ガッチリした体型に長い手足。
まさに、私好みの理想の人。
憧れないなんて、無理。
何度かチーフと仕事終わりに飲みに行ったりしているうちに、寡黙だと思っていたのに明るく話してくれる気さくな一面と、笑窪が出来る笑顔に惚れていた。
だからこの日、3年越しの想いをぶつけてみたんだけど……
「……南の気持ちは嬉しい。俺はな……お前が可愛い。可愛くて仕方がない……こんなに女性を可愛いと思ったことはない……だが……」
そこまで言うと、チーフの腕の中にすっぽりと納められたかと思うとーー…、
俺自身、恋愛経験も少ない、と。
どういう風に愛していいのかもわからない、と。
「それでも構わないから……今以上に……可愛いくて手放せなるくらい好きにさせてくれるか?」
恋愛経験が少ないだとかどう愛していいのかわからないとか、どうでもいい。
私が好きなのはチーフなんだから。
はい!もちろんです!と、チーフの背中に腕を回して広い胸に頬を擦り寄せると、爽やかなチーフらしい香りを鼻いっぱいに吸い込んだんの。
私……この香り、好き。
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