これを愛というなら~SS集~
クリスマスに、前々から考えていた婚約指輪の代わりに時計を用意してー…ー。

予約していたホテルの最上階のスイートルームで、夜景を背に利香にプロポーズをした。


「利香……俺と結婚して欲しい。これからの人生を利香と歩いて行きたい」


「はいっ!喜んで!」


涙を流しながら、抱き付いてきてくれた利香を受け止めて。

ルームサービスのクリスマスディナーを堪能して、はじめて一緒に風呂に入って抱き合い。

ベッドでも求め合い。

翌朝、目覚めた時には……幸福な怠さに身体が満たされていた。


年末の唯一の休みと謂える休みに、お互いの両親に挨拶に行って。

認めて貰ったは良かったのだが……利香の実家で息を呑んだのは云うまでもない。

広い庭に、豪邸に、立派な神殿。

千年以上続く神社の娘とは聞いていたけれど、、、ここまでとは想像を遥かに越えていたからだ。

年末になると呼び出されて、新年に備えての準備に追われるらしい。

毎年、俺も手伝いに来ます、と自ら引き受けると利香の両親に、ありがとう、と。

頼みます、と厳格そうなお義父さんは笑顔をくれた。

この笑顔は、利香にそっくりだな。

癒される、ホッと安らげる。


「今年は、二人でゆっくりさせてよね」


帰り際にそう言った利香と帰ってから、認めてもらえた事に胸を撫で下ろした。


本当に、こんなにゆっくりとした年末は初めてに等しいと言っていた利香と、蓮と倉本に負けないくらい…ー…寝ても覚めても二人の時間はくっついていた。
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