これを愛というなら~SS集~
料理長と倉本さんが結婚して、リュミエールを去って半年後ーーー。
「環奈!?久しぶりね」
ゲストさんの中に見知った顔が居て、声を掛けられた。
私から、恋は紛い物だと思わせた張本人で、継母だった。
7歳の時に私の父は実母と離婚して、実母は海外での仕事が多忙で、私を引き取った父は9歳の時に継母と再婚した。
情熱的な恋でね、と。
環奈ちゃんよろしくね、と言われて。
最初は父とも仲良く見えて、情熱的な恋で結ばれたんだと思っていた。
それなのに、継母には裏の顔があった。
宝石会社の社長の父のお金や、行く行くは遺産目当てだったんだと気付いたのは、継母が父の目を盗んで父の会社の社員さん数人と、浮気をしている事実を知った時だった。
この時に、何が情熱的な恋だと。
恋なんて……所詮は口だけの紛い物。
だから私は恋なんてしない。
馬鹿馬鹿しい、お互いに恋に落ちるなんて有り得ない。
好きになった人が、自分だけ見てくれるなら、その人に全てを捧げようと思ったんだ。
なかなか、そんな人は現れずに好きになった人は料理長で、見事に撃沈して、恋って情熱的だって教えてくれたのは、蒼大くんで。
支え支えられて、愛に変わっていくと教えてくれたのはーー料理長と倉本さん。
父が病気で亡くなって、半分の遺産を相続している継母。
浮気をしていた副社長で、今は社長のその人と再婚して今も裕福な暮らしをしている。
私はそんな継母との暮らしを嫌い、就職して直ぐに家を飛び出して以来の……再会だった。
どうやら、実家の会社の社員さんの結婚式らしく……仕事で出席出来なくなった旦那さんに代わって急遽、継母が出席することになったらしいなら、私には知る由もない。
「あらっ、彼氏でも出来た?」
蒼大くんが誕生日にくれた右手薬指に光る指輪を見て、継母はそう言って笑った。
「……出来たよ。貴女には関係ないけどね」
「一応は……戸籍上は親よ。知る権利はあるんだから、そのうち紹介してよね」
なんて……意地悪く笑った後に、それにしても味気のない指輪ね、と。
宝石会社の娘なら……その名を恥じない指輪をくれる男と付き合いなさい、と言い放ったのだ。
蒼大くんが私のために選んでくれた指輪を、馬鹿にされた事が許せなかった。
値段なんて関係ない。
宝石が小さくても大きくても、輝きがなくても大好きな人がくれたもの。
「ほっといて!」
それだけ伝えると、助け船のようにインカム越しに、私宛の蒼大くんの声が届いてホッとしてー……わかりました、と蒼大くんに応答して、軽く継母を睨んで背中を向けた。
また意地悪く、背中越しに笑みを浮かべられているとも知らずに。
「環奈!?久しぶりね」
ゲストさんの中に見知った顔が居て、声を掛けられた。
私から、恋は紛い物だと思わせた張本人で、継母だった。
7歳の時に私の父は実母と離婚して、実母は海外での仕事が多忙で、私を引き取った父は9歳の時に継母と再婚した。
情熱的な恋でね、と。
環奈ちゃんよろしくね、と言われて。
最初は父とも仲良く見えて、情熱的な恋で結ばれたんだと思っていた。
それなのに、継母には裏の顔があった。
宝石会社の社長の父のお金や、行く行くは遺産目当てだったんだと気付いたのは、継母が父の目を盗んで父の会社の社員さん数人と、浮気をしている事実を知った時だった。
この時に、何が情熱的な恋だと。
恋なんて……所詮は口だけの紛い物。
だから私は恋なんてしない。
馬鹿馬鹿しい、お互いに恋に落ちるなんて有り得ない。
好きになった人が、自分だけ見てくれるなら、その人に全てを捧げようと思ったんだ。
なかなか、そんな人は現れずに好きになった人は料理長で、見事に撃沈して、恋って情熱的だって教えてくれたのは、蒼大くんで。
支え支えられて、愛に変わっていくと教えてくれたのはーー料理長と倉本さん。
父が病気で亡くなって、半分の遺産を相続している継母。
浮気をしていた副社長で、今は社長のその人と再婚して今も裕福な暮らしをしている。
私はそんな継母との暮らしを嫌い、就職して直ぐに家を飛び出して以来の……再会だった。
どうやら、実家の会社の社員さんの結婚式らしく……仕事で出席出来なくなった旦那さんに代わって急遽、継母が出席することになったらしいなら、私には知る由もない。
「あらっ、彼氏でも出来た?」
蒼大くんが誕生日にくれた右手薬指に光る指輪を見て、継母はそう言って笑った。
「……出来たよ。貴女には関係ないけどね」
「一応は……戸籍上は親よ。知る権利はあるんだから、そのうち紹介してよね」
なんて……意地悪く笑った後に、それにしても味気のない指輪ね、と。
宝石会社の娘なら……その名を恥じない指輪をくれる男と付き合いなさい、と言い放ったのだ。
蒼大くんが私のために選んでくれた指輪を、馬鹿にされた事が許せなかった。
値段なんて関係ない。
宝石が小さくても大きくても、輝きがなくても大好きな人がくれたもの。
「ほっといて!」
それだけ伝えると、助け船のようにインカム越しに、私宛の蒼大くんの声が届いてホッとしてー……わかりました、と蒼大くんに応答して、軽く継母を睨んで背中を向けた。
また意地悪く、背中越しに笑みを浮かべられているとも知らずに。