これを愛というなら~SS集~
『悠馬が将来を考えた女なのか?』


まだ……そう訊かれると、わからない。

だけど、桃子の笑顔は俺が守ると誓った。

そうだよ、と答えると。


『わかった。力を貸してやる!お前は何があっても女を守りきれ。面倒な始末はこっちで片付ける!いいな?』


親父に、ありがとう、と場所を伝えて、車を飛ばして着いたビジネスホテル。

着くまで待ってろ、と長兄から電話をもらっていてーー…裏口の駐車場に車を停めて待っていると、フルスモークの如何にもな車が停まって……長兄と次兄が出て来てくれた。

兄貴二人は、一見は裏社会の人間とはわからない服装で来てくれたのはーーロビーで止められる可能性があるからだろう。


「悠馬……親父に言われたことはわかってるな?」


「わかってるよ。先に俺が突っ込めばいい?」


「ああ。インターホンを鳴らして、ドアを開けたら突っ込め!俺らは後から入って取っ捕まえてやる」


長兄に、頷くと。

守れよ……大切な女を、と次兄に言われて、大きく頷く。


桃子が教えてくれた部屋番号のインターホンを押すと、あの男が顔を出した。

閉められないように、片足を素早く挟んでーードアを押し開いて、退け、とあの男の腹部を殴って……声を上げて身を屈めた横をすり抜けて中へ。


ビジネスホテル最上階のセミスイートだけあってーー…2つの寝室のベッドに桃子が居て、その上に別の男が跨がっていた。

ゆっくり近付いて、肩を掴んで引き離すとーーなんだ!?お前、と掴み掛かろうとするから……一思いに股間を蹴り上げてから、、、


ベッドの上で……震えている桃子を抱き締めていた。

イヤァ~!!と叫ぶ桃子の身体を更に強く抱き締めて、俺だよ。

悠馬だよ。

もう大丈夫!


「……悠馬……悠馬……」


何回も呼んで擦り寄ってくる桃子の、引き裂かれた服に上着を掛けて、抱き上げるとーーー、

俺が股間を蹴り上げた男を、床に押さえ付けていた長兄に、行けっ!と言われて、、、

入り口では次兄が、あの男を押さえ付けていて、既に伸びた状態だった。

あとは任せろ!と次兄が言ってくれて、よろしく。

人目に付かないように、裏口から出て後部座席に乗せても……まだ少し震えている桃子に、帰ろう、と頭を撫でるとゆっくりと頷いてくれたんだ。
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