これを愛というなら~SS集~
こんな感じで、はじめての二人の夜と朝と休日。

陽介さんにとっても新鮮だったみたいだけど、私にとっても新鮮だったの。


この、はじめてを体感するまで陽介さんが甘い人だなんて知らなかったし。

多忙だとは思っていたけれど、帰って来てまで仕事してるなんて……

どれだけ仕事人間で、この仕事が好きなんだろう。

確かに、誰かの幸せの瞬間に立ち会えて、サポートが出来る素敵な仕事で、私も好きだけど陽介さんほどの情熱も好きもないかもしれない。

私はどちらかと言うと、プランナーより衣装の方が向いてるかも。

一応は、カラーコーディネーターの資格持ってるし。


だからこそなのかな。

陽介さんの一番の理解者として、恋人として支えたいって思ったんだよね。

そして、いつの日か陽介さんの力になれるのなら、カラーコーディネーターの資格を生かした部門を任されたいって。


その日からはさ、週3で陽介さんの部屋に行って、家事をして……一緒に朝を迎えて……夜を過ごして、通い妻みたいな生活をしていたの。


半年が過ぎた頃、繁忙期に向けて多忙な陽介さんの帰りも遅くなって……


「ここに住んでもいい?」


切り出したのは私からだった。

そうだな……利香も大変だろうから引っ越しておいで、と言ってくれて同棲を始めたって訳。

帰って来るのは早くなったけれど、仕事ばかりしてる陽介さんに、不満が募ったこともあるけど……

梓に愚痴って、梓の蕁麻疹をきっかけに惚れ直して……素直に言ってみるとー……。


「帰って来てからは時間を決めてするよ。繁忙期に入ったら、俺も家事を協力する。ごめんな……あんまり構えなくて」


なんて言ってくれたから、繁忙期に入ってからは陽介さんの方が……積極的に動いてくれていた。

休みの日は、仕事の手を休めて二人の時間を大切にしてくれたり。

昼間から甘い時間を過ごしたり。

私たちなりの幸せな毎日だったのに……あの人が現れたんだよね……
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