シンデレラは堅物会長の専属モデルになるようです
「んっ……ふ……」


紅蓮先輩はまるで一条君に見せつけるかのように私へのキスを続ける。


呼吸が苦しい。


「流架。僕が本気だということが伝わりましたか?」

「はぁ、はぁ……」


ようやく離してくれた。

私は息を整えるのに精一杯でしばらく話せそうにない。


「俺がこの程度で引き下がると思ってるの?」

「……」


一条君の言葉を聞いて紅蓮先輩は口を閉じた。


「紅蓮お兄ちゃんも甘いよね。言ったよね? 俺は彼女が沢山いるって。今した行為なんて俺にとっては挨拶程度。……俺はそれ以上のことを沢山してる」


あれ?


どうしてだろう。


「もしかして紅蓮先輩に勝つため?」

「「!」」


二人の会話を聞いていたら思ってることがポロリと口からこぼれてしまった。


「悠、どうしてそう思ったの?」

「な、なんとなくです。さっき一条君は紅蓮先輩のことを嫌いじゃないって言ってたので。もしかしたらなんでも完璧にこなせる紅蓮先輩に憧れを持ってて、それで真似をしようと思ったけど試してみると案外上手くいかなくて……って、私ってば何言ってんだろ」


それこそ有り得ない話。

一条君だって頭は良いし、見た目は紅蓮先輩に負けないくらいイケメンなのに。
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