アヤとり~セカンドコンタクト~
「えっ。いや」

「ごめんね、テラス席冷えるよね」

どこまで気が遣えるんだろう。

「ありがとう」

顔もいいし、モテるんだろうな。

彼女に振られたとは言っていたけど、この1週間でまた彼女ができてもおかしくない顔面をしている……と思っている。

「今日は来てくれて嬉しかった。この間のお礼がしたかったから」

「ああ、違うの。自分の分くらい自分で払うよ」

「……だめ?」

ああ。顔がいい。

「ごめんね、あまりご馳走してもらうことなくて……慣れてないの」

「そっか」

人に恩を売るとめんどくさいもん。払って貰う理由もないし、奢ることはあっても奢られるのは好きじゃない。

「僕が彼氏だったら奢れたのにな」

「なんか言った?」

「なんでもない。じゃあさ」

真っ直ぐに向き直して、くりくりした目が私に向いた。

「どうして今日来てくれたの?」

「え、だって約束したから……」

そう。それが今日ここに来た理由の全て。

「奢ってもらう気で来たなら、どうにか理由をつけて灯ちゃんと会うことに成功したって喜ぶんだけど……」

どういうこと?

「ねえ、もしかしてだけど、今日会うの楽しみにしてくれて……たりして」
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