1分で読める初恋短編集
11:次の恋
「ごめんね」
その言葉をもらうってことは、なんとなくわかっていた。
いいや、わかっていたことにしたかった。
だって、そうしないと泣いてしまいそうだから。
「……先輩、ありがとうございました。あと、なんか告白しちゃって、ごめんなさい」
「いや、こっちこそごめんね。俺、他に好きな人がいるから」
「ううん、いいんです。それじゃあ」
その場を笑顔で去るのがマナーだと思った。
大好きな先輩にこれ以上困った顔をさせたくない。
背中を向けて去る時に必死に泣かないでおこうと思ったけれど、心とは裏腹に目からは涙がこぼれていく。
近くで待っていてくれたマリナがそっと肩を抱いてくれる。
「次の恋にいこうよ」
「……いけるかな」
「そうしないと埋まらないよ、恋の傷って」
「埋まるかな」
「埋めるんだよ、それでも残るなら……いい恋だったってことだよ」
「そっか……」
胸に残る痛みを抱えながら、私は涙を拭う。
そして、心のどこかで思う。
「この傷が、残りますように」と。
その言葉をもらうってことは、なんとなくわかっていた。
いいや、わかっていたことにしたかった。
だって、そうしないと泣いてしまいそうだから。
「……先輩、ありがとうございました。あと、なんか告白しちゃって、ごめんなさい」
「いや、こっちこそごめんね。俺、他に好きな人がいるから」
「ううん、いいんです。それじゃあ」
その場を笑顔で去るのがマナーだと思った。
大好きな先輩にこれ以上困った顔をさせたくない。
背中を向けて去る時に必死に泣かないでおこうと思ったけれど、心とは裏腹に目からは涙がこぼれていく。
近くで待っていてくれたマリナがそっと肩を抱いてくれる。
「次の恋にいこうよ」
「……いけるかな」
「そうしないと埋まらないよ、恋の傷って」
「埋まるかな」
「埋めるんだよ、それでも残るなら……いい恋だったってことだよ」
「そっか……」
胸に残る痛みを抱えながら、私は涙を拭う。
そして、心のどこかで思う。
「この傷が、残りますように」と。