1分で読める初恋短編集
9:優しくする人
 男子に優しくされるなんて、普通のことだった。
 その行為に意味なんてないと思っていたし、私もできる限り男子には優しくした。
 だってそれは人間として当然だし、人間関係を円滑に進めるために必要なものだから。
 だけど、いつの頃からか隣の席の彼の優しさに特別感を抱くようになった。
 誰にでも優しいと、少し腹が立った。
 私も特別に彼に優しくするになった。
 これに「初恋」と名前がつくのだと知ったのは、少し後のことになる。
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