占いお宿II 新たな契りを結ぶ時
「もし、シュトラスにローラが関わっているとしたら……どんな思いで、なにを狙って行動しているのだろうか?ハーピーにアドルフを攻撃させるなんて……」

傷付いたアドルフを思い出したのか、話しながらルーカスは顔を顰めた。

「ああ、それはローラの意思とは言い切れん。ハーピーは獣人を見分けることができる。それは、ヤツらが極端に獣人を……特に、鳥の獣人だな。敵視しとるんだよ」

「それは、どうしてだ?」

「嫉妬だな」

「「「は?」」」

気の抜けた声を出したのは、3人同時だった。ここにきて、襲った理由が嫉妬って……

「鳥の獣人となれば、もちろんハーピーより知性に優れ、能力も高い。おまけに、獣人は魔女のお気に入り。魔女が自分達より鳥の獣人を優先するんじゃないかって、いつも恐れている」

「なんだそれ」

思わずつぶやいたルーカスを責めるなんて、誰もできそうにない。まさしく、〝なんだそれ〟なのだから。ドリーですら苦笑を漏らしていた。

「いくらお気に入りでも、知性の高い獣人なんて、思い通りに操れないから頼み事もするはずないのにな。おまけに、獣人は魔女を毛嫌いする。単純なことなのに、ハーピーの知能では、そこまで気付けんのだよ」

アドルフは、そんなつまらない嫉妬で怪我を負ったというのか……あまりにも不憫すぎる。

「それで、ドリーはローラと連絡を取ることは可能ですか?」

立ち直りの早かったジャレットは、真っ先に聞くべきだったことを尋ねた。

「いや。残念だが、できんな」

多少の情報は増えたけれど、前進とまではいかないようだ。

「ただな、もしローラが関わっているとするなら、それはなにかしら理由あってのことのはず。根拠というには心許ないが、あの子は悪さをするような子じゃない。それは、わしの真実を見る目にかけて断言できる」

そうドリーが言うのなら、信頼できる。それはルーカス達も感じたようだ。

「結局のところ、シュトラスが抱える事情次第というところだな」

ルーカスの言う通りだ。

それにしても、マリアーナはともかく、ヨエルのことも気がかりだ。彼がここを出発して、もうずいぶんになる。そろそろ、シュトラス王国に入っているのではないだろうか?








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