占いお宿II 新たな契りを結ぶ時
「今後のことだな。シュトラスの動向も真意もわからない。間違いなく、狙いはマリアーナのようだが、彼女をどうしたいのか……」

「そこは、アルフレッド殿下も申しておりました。マリアーナ様に関して、グリージア側は彼女自ら保護を申し出たという扱いで通しています。万が一、シュトラス側に王女の誘拐を訴えられてはいけないので。マリアーナ様にも、その辺りは話を通してあります」

その言い分が、果たして通るのかどうか……
アルフレッドがこの場にいない限り、今後の方針が決めきれない。ともすると、この問題は既にサンミリガンの手を離れている気もするけど……
隣に座るルーカスに目を向けると、彼は真剣に考え込んでいるようだった。ルーカスが、こうも親身に考えてくれているのはどうしてか?マリアーナという友人のため?アルフレッドという戦友のため?


「番に、こんなに見つめられるなんて……」

「……ん?」

ハッとして目を逸らし、若干体を離す。

「だめだ。幸せすぎる。ライラ!!」

ガバリと抱きつかれて、危うく後ろに倒れるところだった。でも、そこはルーカスの逞しい腕がガッシリと支えてくれてセーフだったけど……って、抱きしめられてることそのものが問題だ。
アンディは呆気に取られて、ポカンと口を開けたままになってるし。

「ルーカス、とりあえず落ち着いて」

「無理だ。番にこれほどまで熱い視線を向けられたんだぞ」

我慢できないとばかりに、至るところに口付けをしていくルーカス。それが唇に近付いたところで、なんとか抜け出した両手を突き出して、〝ストップ〟と阻止した。

「ちょっと、こんなことをしている場合じゃないでしよ!!」

「そ、そうだった。ライラと番うために、この問題をさっさと片付けるんだったな」

それが原動力であり、関わる理由だったのか……ていうか、

「番うなんて言ってないから!!考えるって言ったのよ!!」

っていう、私の主張は見事にスルーしたようだ。このまま、流されていいはずがない。





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